「技術面は我々がリーダーシップを発揮している」――Ericssonの戦略と優位性

"テレビ、PC、ケータイとして利用できる「IPTV REMOTE」"  日本エリクソンが3月15日、「新時代に向けたVisionと技術戦略セミナー」を開催。LTEやHSPAのネットワーク技術におけるEricssonの戦略や、Mobile World Congress 2010で披露したサービスの中から、同社の新しい取り組みを示すものを紹介した。 日本エリクソン 代表取締役社長のフレドリック・アラタロ(Fredrik Alatalo)氏は、モバイル市場のトレンドとして、ユーザーが携帯端末(モバイルインターネットデバイス)を使用する際に操作性を重視するようになったことと、ネットワークの世界ではクラウドコンピューティングが普及していることを挙げた。「GoogleやMicrosoftが注力しているクラウドのメリットは、1カ所へサービスを集中できること。これにより、開発コストを下げ、幅広い機器へサービスを提供できる」(アラタロ氏) HSPAやLTEをはじめ、これからはモバイルブロードバンドが携帯電話事業のカギを握っている。Ericssonが目指すモバイルブロードバンドの世界は、さまざまな機器をネットワークにつなげ、通信事業者が提供するサービスを利用できるというもの。こうした機器の中で同社が注目しているのが「テレビ」だ。「テレビはモバイルブロードバンド機器の中心にある。(インターネット経由で映像を配信する)IPTVは標準化が進められており、ユーザーはテレビからさまざまなサービスに接続できるようになる。新しい広告配信や、ケータイと組み合わせたメッセージサービスも可能になるだろう」(アラタロ氏)●Ericssonの優位性はネットワークの品質 携帯電話市場は成熟期を迎えたともいわれているが、アラタロ氏は「まだ成長の余地はある」とみている。「ケータイのサービスはまだ音声が大多数を占めているが、モバイルブロードバンドのトラフィックは2009年から2015年にかけて約1000倍伸びると予想している。トレンドの成長を予測してどう対応するかが重要だ」と同氏は説明する。 モバイルブロードバンドは現在、HSPAからLTEへの移行期にさしかかっており、Ericssonは2020年までに500億の機器がLTEに接続することを目指す。「LTEチップセットの価格はそれほど高くはない。カメラや冷蔵庫、PCなどにも無線技術を搭載していきたい」と同氏は意欲を見せる。通信事業者にとっては、音声サービスに加えてモバイルブロードバンドサービスに課金をすることで、年間28%の収益増加が見込まれるという。 HSPAについて、Ericssonは現在315の商用ネットワークを提供しており、対応機器は2100以上に及ぶ。日本ではイー・モバイルが下り最大21MbpsのHSPA+サービスを提供している。2010年は下り最大42Mbpsのサービスを日本を含む世界で開始する予定だ。LTEはHSPAのソフトウェアをアップグレードすることで利用可能になることから、「HSPAもビジネスとして生き残っていける」(アラタロ氏)という。 また、3GPPが策定する仕様の1つ「Release 9」では、(2つの基地局から電波を受信する)デュアルセルで(複数のアンテナを組み合わせて電波を受信する)MIMOを利用でき、下り最大84Mbpsを実現する。 ほかのネットワークベンダーと比較した場合、Ericssonの優位性はネットワークの品質が優れていることだとアラタロ氏は強調する。2009年の調査によると、欧州やアジアをはじめとする全地域で、Ericssonのネットワークを利用したダウンリンクが最速との結果が出ており、アラタロ氏は「技術面では我々がリーダーシップを取っていると信じている」と胸を張る。●HSPAかLTEかの選択は「難しい問題」 EricssonはLTEで150Mbpsの通信速度を出すことを2010年の目標としている。すでにVerisonやAT&T、NTTドコモなど主要な通信事業者がEricssonのネットワークを選定している。一方、KDDIはLTEのネットワークベンダーに日立製作所を選定しているが、アラタロ氏は「まだ何も決定していない」と前置きしつつ、EricssonもKDDIとの事業展開を検討していることを明かした。また同氏は、Ericssonの機器は、HSPAからLTEへアップグレードする時期を選択できることも強みとした。12

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